不調の原因がゆがみ?バランス?整体治療のホントのところ
こんにちは。神戸市垂水区のokada鍼灸整骨院の岡田です。
さて、今回はいつもの特定のお悩みごとやセルフ・ケアとは少し違った内容をお話します。
というのも、当院でツラい不調が改善された患者さんから
「先生、結局この私の○○って体の何がどうなってこうなったんでしょうか?」
というご質問をいただくことが時々あります。
じっさい、ここの所を私が普段の診察でくわしくお話することはあまりありません。
もちろんある程度、
お体の状態を写真に撮ってお見せしたり、手足の動きのアンバランスを感じてもらって不調の原因をお伝えすることはたしかにあります。
ですが、大切なのは「患者さんのお悩みの解消」ですので症状と原因の理屈うんぬんはできるだけシンプルにお話するようにしているわけです。
ただ、お体が楽になった患者さんからおりに触れて先ほどのようなご質問がちょこちょこあるのもたしかです。先日も腰痛が楽になった看護師さんのかたが同じように仰られました。
医療系の患者さんでも疑問に思うわけですから、そうでないかたはもっと分からなくて当然ですよね。
また、整体治療を受けたことがないかたなら「体のゆがみ?バランス?整体って何かうさん臭い」もしかしたらこのように感じるひとがいるかも知れません。
そんなこんなで、この度は「お悩みの不調とゆがみの関係」について、普段の診察のときよりもう少しふみ込んでご説明してみようと思います。
今日のお話は直接皆さんのお役に立つようなものではありませんが、今日のような疑問や偏見をこの記事を読むことで少しでも解消してもらえたなら幸いです。
そもそも「ゆがみ」って何なの?
まずはじめに誤解のないように。
以前もどこかでお話したかもしれませんが、当院の整体施術(私の学んできたもの)が整体の「すべて」ではありません。
整体やカイロプラクティック、手技によって不調を改善するいわゆる徒手療法にはたくさんの流派やテクニックがあります。当然ながらその治療理論はさまざまであり、一概に「これが整体だ」と説明するのはなかなか難しいことです。
ですが、共通する部分も数多くあるのもまた事実です。
そこで今日のお話は、私の治療歴21年の考えとして進めていきます。
「体のゆがみ」という言葉の真意
患者さんの痛みや不調の原因について体の「ゆがみ」や「バランス」だと説明している整体の先生はおそらくかなりの数おられると思います。
かくいう私もそうです。患者さんにそうお伝えすることが度々あります。
ただ、冒頭でもお話したように、そういった表現を使うのは「患者さんに分かりやすいように」という意味で使うことがほとんどです。
じっさいの体の痛みや不調の原因は複雑です。
・体格や体重・お仕事や日常の環境
・もともとの体質(体の硬さ)
・過去の怪我・体の使い方の癖
このようにさまざまな要素がからみ合っており、ココがこうなったら痛くなるとか、ココさえこうすれば治るという単純なものではありません。
※TVでよくやっている「○○の痛みは○○が原因だった!」というのが本当だったら良いのですけどね。みんなそれで治りますから。しかし残念ながら「そういうケースもある」というだけの話なのです。
また、明らかなケガを除けば不調の原因となっている場所(関節や筋肉)も一つではないことが多いので
「あなたのココとココはこういう風になっていて、それが痛みの場所にこのように作用して~…」
と、くわしく説明してみたところで患者さんは「???」となることでしょう。あるいは「ようするに治るの?治らへんの?」とイラついてしまうかたもいて当然です。
中には色々と情報を集めていてこまかいお話を希望されるかたもいますが、それはかなりの少数派。じっさいは「治れば何でも良いので説明はざっくりで結構です」という意見がほとんどだと思います。
そりゃそうですよね。理屈を聞きに治療院へ来院するわけではないのですから。
「体のゆがみ」の解説
さて、以上のようにいつもの現場ではなかなか説明できていない部分を今日は少しだけお話します。
■ 体のゆがみとは「体の使い方の習慣や癖のアンバランス」
ようするに体のゆがみとは、お仕事や日常生活での体の使い方の「偏り」ということです。
じっさいの患者さんの例を交えてご説明します。
下の写真は、左の首~肩にかけての慢性的な痛みで来院された30代女性の患者さんのうしろ姿です。
見てお分かりだと思いますが、左の肩が下がって背骨のラインも傾いてしまっています。
お話を伺っていくと左手で幼いお子さんを抱っこしていることが多いそうで、そのために左の肩がいつも下側に引っぱられていることが容易に想像できます。
ただ、それだけでは本当の意味で治療のヒントにはなりえません。
というのも、たとえこのかたと同じような環境で同じようなゆがみであったとしても、その原因はひとによって違うからです。
・単純にお仕事量(左手に子供を抱く負荷の量)に左肩の筋肉が追い付いていないのか?=筋力不足?
それとも、
・本来の左肩の筋力が上手く使えていないのか?
・もしそうなら何が原因なのか?
・左肩の筋肉自体の問題?または、その筋肉を動かす神経の通りが悪い?あるいは、左肩の脇の下の筋肉が緊張して肩を下に引っぱってる?
など、このように色々な可能性を考えながら検査していく必要があるのです。
医学的には筋膜の緊張・頸肩腕症候群・トリガーポイント・相反抑制などのメカニズムがからむ話なのですが、説明が長くなりすぎるので割愛します。
じっさいの所、このかたの場合は肩甲骨の位置の問題と首の骨の「左肩の筋肉へ神経がでている場所」が緊張をおこしていることが主な原因でした。
下は治療後の写真です。
全体の傾きがずいぶんマシになっていることが分かりますよね。
※実際は骨盤や股関節、背骨のゆがみ・バランスの治療もしています。
整体治療と並行し、自宅では肩甲骨の位置を正常化させる簡単なストレッチを続けてもらったことで、このかたの症状はどんどん回復していきました。
もし仮にこの度の患者さんを「あ~。左手で抱っこするから左肩がこるんですね~」と左肩をマッサージしかしていなかったとしたら…
きっと今回のような改善は難しかったと思います。
このようにさまざまな関節や筋肉の位置や偏りの異常を観察・アプローチすることで改善する不調がとても多いので、
それを私たちは要約して
「〇〇さんの症状は〇〇のゆがみが原因なんですよ」
とお伝えしているわけなのです。
まとめ
・不調の原因が体のゆがみと聞いてピンとこないあなたへ
・じっさいの症状の原因は複雑でそのまま伝えるとややこしい
・なのでできるだけ患者さんに分かりやすいようにと「ゆがみ」と表現しています
いかがでしたでしょうか?
何となくでも、体のゆがみ・バランスと不調の関係、整体治療がそれをどのように改善していくかのイメージが分かってもらえたでしょうか?
整骨院や整体院におとずれる患者さんは本当に色々なかたが来られます。症状や体質がさまざまなのと同じで、考え方も千差万別です。
たとえ治療で効果がでていても100%のひとが完全に納得できる説明というのは難しいのかもしれません。
ですが、私もこの仕事を21年続けてきて、整体治療の素晴らしい可能性をたくさん目の当たりにしてきました。
今日のお話がたとえ1人や2人のかたにでも
「ふ~ん。整体ってそれなりに理論や理屈があるものなんやね」
「そしたら私のこの〇〇も整体で楽になるのかも」
と思ってもらえたのなら幸いです。
患者さんと真摯に向き合っている素晴らしい先生はたくさんおられます。
もしあなたがお体の不調でお困りなら、ぜひ整体治療を選択肢の一つとして考えてみてください。
(監修:柔道整復師・はり師・きゅう師 岡田英士)